本屋の価値を可視化する(仮)
この記事は 本屋専用ファンクラブ | リトルスタッフ の開発記録です。
「本屋x継続課金」について考えてきましたが、それを辞める方向で考えています。
結論から先に書くと、まずは「本屋の価値を可視化する」ことに専念するのが良いのではと思っています。
今日の記事は参加書店さんへの説明も兼ねているので、長くなりますが丁寧に書きます。
おさらい: リトルスタッフの目的
まずはリトルスタッフの理念や目的について改めて整理します。
ここは現状と変わらないので、分かっている方は読み飛ばして頂いても構いません。
リトルスタッフは「本屋が儲からない」という課題への挑戦です。
僕は本屋の現状を以下のように捉えています。
上図の通り、本屋が儲からない理由は大きく分けて2つあります。
リトルスタッフが挑戦するのはこのうち「本の粗利が低い」という問題です。
(本が売れないのは「他に面白いモノが増えた」せいですが、今回とは関係ないので割愛)
「本の粗利が低い」ことに対する解決法は2つあります。
「本以外の収入を確保する」か「粗利を上げる」ことです。
理想を言えば更に「たくさん売る」という方法がありますが、それは「本が売れない」という課題と矛盾します。
たくさん売るのが可能なら「本が売れない」現状はなく、本が売れるなら「本屋が儲からない」という現状はありません。
リトルスタッフはこの選択肢のうち「本以外の収入を確保する」を実現します。
おさらい: 本以外の何を収入源にするか
カフェやイベントや他商材を抜きにして、本屋の存在価値を一読者として考えました。
僕は本屋の価値は選書や棚作り(陳列)、空間などの雰囲気作りにあると思っています。
どういう本をどういう意図でどう並べるか。それが本屋の個性であり、読者が期待する「思わぬ出会い」の源です。
「出会い」「編集」「演出」いろいろな言い方はありますが、この本屋の価値に対して今は経済が発生しません。
読者は「本を買うことでしか貢献できない」と思い、本屋は「来店して本を買ってもらうしかない」と考えています。
実際、現状では本の売買しか手段がないからです。
リトルスタッフはこの「本屋の価値」を軸にしてお金が回るようなシステム、経済を作ろうとしています。
これが実現出来ると本屋の個性が経済になるので、面白い本屋がもっと増えるし長続きします。
結果として読者は今よりもっと「面白い本に出会う確率」が高くなり、エンタメとして読書体験が向上します。
「本を売るのは限界があるから別手段の収入を作る」「本屋の価値を軸にした経済を作る」
ここまでがリトルスタッフの目的であり理念です。
おさらい: 本屋に継続課金してもらう
リトルスタッフの構想は当初、投げ銭から始まりました。
「本屋の価値に対して経済を作る」上で、一番簡単に思いつき、かつ考え方自体はシンプルだからです。
しかし投げ銭はそのままでは法律的に色々と厄介で、個人で進めている僕は断念しました。
その次の案として、また実際に安定した収入を考慮して、継続課金で進めることにしました。
これが現状のリトルスタッフです。
おさらい: 継続課金の難しさ
継続課金の路線で進めてきましたが、実現にあたり難しい側面が色々と分かってきました。
- 本屋
- リターンが浮かばない
- リターンの維持が大変そうで気が乗らない
- 既存サービスで出来ることは既存サービスで済ませちゃう
- 読者
- 継続課金に対するハードルの高さ
- CAMPFIREファンクラブですら盛り上がりに欠けるのが参考事例
- 継続課金に対するハードルの高さ
どうしたら継続課金を馴染ませることが出来るか、未だに仮説が出ていません。
路線変更: まずは本屋の価値を可視化する
ここ数日じっくり考えた結果、課金云々の前に「本屋の価値とやらを可視化する」ことが重要なのではと思うようになりました。
理念にある「本屋の価値」がそもそも可視化されていないようでは、その後の経済も続かない。そんな気がしています。
「価値の可視化」とは本屋以外の事例でいうと次のようなものです。
可視化する目的はそれぞれの立場であります。
- 本屋
- モチベーションUP
- 社会的欲求を満たすので、人間心理的に嬉しいはず
- 数値化されることに抵抗がある人は残念ながらリトルスタッフに合わない本屋さん
- モチベーションUP
- 読者
- 応援をエンタメにする
- どうエンタメ要素を出していくかは未設計
- 本屋に行った/本屋で買った記録等が数値化されると楽しい
- 応援をエンタメにする
- システム
- 数値によるフィードバックはエンタメにおいて必要で、それを実現できる
- 読者を参加型にしやすく行動のハードルも下げやすいので集めやすい
考え中: 何を可視化するか
何を持って「本屋の価値」とするか。それはまだ考え中です。
例えばTwitterのフォロワー数やいいね数を指標にすればいいかというと、あれは「本屋の価値」そのものではなく「関心」「興味」の類です。
フォロワー数が多いからといって、本当に価値がある本屋とは限りません。逆も然りです。
ただ本屋として広報に注力したからこそのフォロワー数(いいね数)ではあるので、そう捉えると間違っていないとも言えます。
他にも来店したり実店舗で購入したら価値として加算する場合、たまたま寄っただけの記憶に残らない本屋でも加算されます。
それでも「そこにあっただけ本屋としての価値がある」と言えるかもしれませんが、僕はもっと、本当に面白くて応援したくなるような本屋にだけ加算されるようにしたい。
何を、どう可視化するかはこれから考えます。
考え中: 可視化した数値をどうするか
「価値を可視化」とぼんやり書いてきましたが、具体的な数値を何で表現するかは考え中です。
単純にサービス内で使えるポイント的なものにするかもしれません。仮想通貨にした方がいいかもしれません。
最悪SNSのフォロワー数のように、それ単体では何にも使えないただの数値になるかもしれません。
「換金できないと本屋の収入にならないじゃないか」というツッコミが来そうですが、そうとも限りません。
「この本屋は多くの支持を得ている」ことがリトルスタッフ上で分かれば、それだけでも宣伝として集客に影響を与えて間接的には収入が増えます。
またリトルスタッフの本屋ページ内に広告等を出せるようにして、そのアフィリエイト代を本屋に還元するとかも出来ます。
なので「換金が必須ではない」とは思っていますが、あくまで可能性として挙げただけでこっちもこれから考えます。
人に注目されて評判を得ていれば、それだけでビジネスのアイデアやチャンスは生まれます。
とはいえ仮にでも「こうやって本屋の収益にします」と言えないとサービスの信頼度に関わるので、一旦の答えは出します。
おまけ: リトルスタッフならでは
丸眼鏡さんから面白いサービスを2つ、教えて頂きました。
Ofuse 「クリエイターとファンを繋げるサイト」
Ofuse運営 (@Ofuse_official) | Twitter
有料のファンレターという投げ銭サービスです。
似たようなサービスで、最近テスト版がリリースされたレターポットとどう差別化していくのか注目しています。
(レターポットはまだ換金がないので、現状は差別化できていますが)
spotsale 「スポットセールは店舗の「会員権」の取引所です」
spotsale(スポットセール) | 店舗の「会員権」の取引所
どちらも正式リリースはしていません。
ただ機能的にはリトルスタッフがやろうとしていることと似たようなものです。
(例えばリトルスタッフの継続課金を会員権として使うのを想定していたり)
この、クリエイターや店舗の個性に着目するという分野は今後どんどん出てくるでしょう。
そうなると「リトルスタッフならでは」が一層、重要になってきます。
その意味でも「本屋の価値を可視化する」ことに専念するのは、悪くない手だと思っています。
日記
今日はガッツリ考える時間に使っている。
やっぱり仕事の合間に考えるのと、集中してガッツリ考えるのとでは全然違う。
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本屋向けのこういうのも開発しました。ご興味ある方をお待ちしています。
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