僕らが本屋の未来を変えるまで

リトルスタッフ開発や日々の取り組みについての記録

「本棚の写真を載せる」ことは集客の邪魔になるか

本屋専用ファンクラブ | LittleStaff

LittleStaffでは本屋さんに平台や本棚を撮って投稿してもらいます。
目的の一つに「書店に行けないけど売場(どんな本が売られているか)を見たい人に教える」というのがあります。

「本棚の写真を載せる」ことへのデメリット

けんしろうさんにご意見を頂きました。(頂いたというか、発言されていたのを見ていただけですが)

Twitter上で返信しようと思ったんですが、長くなりそうだったので今日のブログのネタにしました。

集客を阻害するのではないか?

・ファンが実際に本屋に足を運ぶことを阻害してしまわないか?
具体的には、写真を見て、amazonもしくは新古書店で購入。そうなってしまえば、店の売り上げは勿論落ちる。「本棚の写真」に満足した人が、わざわざ足を運ぶには、店主と直接話したいくらいの動機になってしまう。
だって、amazonの方が便利だし、ブックオフオンラインの方が安い。

これに関して、長期的に見て僕はむしろ集客に貢献すると考えています。
もちろん実績がない以上、数値的な根拠はないのでまだ単なる僕の仮説止まりです。

まず大前提として、LittleStaffがなくても「本屋で本を探してネットで買う」人もいます。
そういう人達の場合はそもそもお店で買っていないので「売上が落ちる」ことにはなりません。元から0なので。

それを踏まえて、今回のケースにおいてLittleStaffがない場合の購入フローは大雑把に書くとこうなります。

f:id:kanno_kanno:20171108201510p:plain:h450

簡略化のために「本屋に行かない」「新しい本に出会わない」などのケースは省略しています。
前述したように本屋へ行っても最終的にネットで買う層はいるので、「ネットで買う」が分岐に表れています。

次にLittleStaffがある場合の購入フローです。

f:id:kanno_kanno:20171108201615p:plain:h550

分岐が増えましたがポイントは2つです。

  • A: 本屋に行く時間のある人が、「気になる」->「ネットで買う」割合(売上が下がる割合)
  • B: 本屋に行く時間のない人が、「気になる」->「(後日)本屋で買う」割合(売上が上がる割合)
    • 「気になる」->「本屋に行く」->「ネットで買う」はAと同列に扱う

このLittleStaffによる影響を表にするとこう。

ネットで買う (後日)本屋で買う
本屋に行く時間ある (A)売上Down 変化なし
本屋に行く時間ない 変化なし (B)売上Up

AよりもBの方が大きければ、売上面では問題ないことになります。
つまり仮に売上が落ちる要素があるとしても、それ以上に売上が上がる見込みがあればいいということです。

どちらに軍配が上がるかを考えるために、LittleStaffの画像投稿について考えます。

画像のみでは不十分

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LittleStaffの投稿は今のところ画像しかなく、テキスト情報がありません。
それでも十分だと判断してのことですが、同時に不十分でもあります。
平台や本棚の写真に関しては、恐らく「気になるけど詳細が分からない」ものになると思っています。

もちろんタイトル等は写真から分かるはずなので、そこから自分でググったりして調査できます。
調査した結果ネットで買うかもしれません。
ただそこまでやるかというと微妙だと思っています。
ここで想定しているのは「本屋に行く時間がある人」です。気になったけど詳細が分からない場合、ググるより来店する可能性の方が高いと思います。
来店した方が立ち読みすることでネットより多くの情報を得られますので。
強いていえば来店するのが投稿した本屋とは限りませんが、それはもとより来店するつもりはなかったケースですので、やはり売上に影響ありません。

不十分ゆえに効果を期待する

次にBについて考えます。
「本屋に行く時間のない人」が投稿画像を見た程度で後日、本屋に行くでしょうか。

これはLittleStaffのデキ次第ですが、潜在的には十分可能性があると思っています。
そのためには「時間がない」という状況への僕なりの解釈を説明する必要があります。

「時間がない」とは「そのことに対する優先度が低い」ということであり、簡単にいえば「興味がない」ということです。
時間がない人もスマホを見たりゲームしたり飲みに行ったりデートしたり家族に時間を使ったり、色々できています。時間はあります。
ただ「本を読む」「本屋へ行く」ことに費やす時間がないという意味であり、それに見合う価値を見出していないということです。
そういう人達は時間が増えても他の娯楽の時間が増えるだけで、決して本・本屋に費やす時間は増えません。

まずは「本」「本屋」に関する優先度を上げる必要があります。

個人の優先度には大きく2つあって、責任や義務や期間限定などの強制から生じる「緊急性」と、面白そうという「興味・関心」です。

つまり本・本屋の優先度を上げるにはまず興味・関心を持ってもらう必要があります。
その興味を刺激するような写真、サイト作りが出来れば。それでいて不十分さも残しておけば、LittleStaffは集客に繋がります。

つまり?

「本棚の写真」に満足した人が、わざわざ足を運ぶには

僕の想定では、そもそもLittleStaffにある「本棚の写真」では満足しません。
満足しないがゆえに来店する人は大きく減らず、同時に、不完全ゆえに興味を刺激して集客に貢献するのではないかと考えています。というか貢献するような作りにしたい。

余談1: わざわざ足を運ぶ理由

「本棚の写真」に満足した人が、わざわざ足を運ぶには、店主と直接話したいくらいの動機になってしまう

僕がユーザーの立場で、もし万が一仮に満足したとしても、それでも本屋へ行くと思います。
僕はただ本を買うためではなく、「店内を巡って立ち読みしたりして満喫してから買う」一連の体験を求めて本屋に行きます。

余談2: 本を買う(売る)という発想から抜け出したい

余談1に関連しますが、僕は「本屋は本を売る/買う場所」というイメージを変えたいです。
本屋は本を媒介とした体験を売っているのであり、モノとしての本を売っているわけではない。
わけではないというか、その考えに固執しているとどうしても厳しいです。

お客さんのニーズももうそこにはほとんど残っていません。仰る通りAmazonやネット販売の方が便利なので。
大型書店のみ「欲しい本がすぐに手に入る」ニーズを満たすと思いますが、中小の本屋はモノ視点では無理だと思います。
立地や読書人口に依存する上に本は回転率が悪いので(1冊読むのに数日以上かかるので)、地方で成り立つのは難しくて、いつまでたっても本屋が増えないし、続かない。

「本屋は体験を売る」「本屋は本との出会いを売る」という文化を根付かせるためのLittleStaff。11/24リリース予定です。

感想

めちゃくちゃ長くなった。ダサい。
僕が今回けんしろうさんのツイートをネタにさせて頂いたのは、同じような疑問を本屋側が持ちそうだと感じたからです。
その時に回答の正否はともかくスマートに答える練習のため、思考整理のために書きました。スマート。遠い理想でした。

日記

鋭意TODO消化中。残り5個。
とはいえ、ここ数日書いていたこのTODOはあくまで最低限の機能実装のTODO。
このあともまだ本番での動作確認とかサーバー設定とか色々ある。
初期リリースでは外すからという理由で課金周りのTODOを後回しにしているし。

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http://little-staff.hatenablog.com/entry/2017/10/16/184104

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