僕らが本屋の未来を変えるまで

リトルスタッフ開発や日々の取り組みについての記録

2年前ぼんやり描いていた「本屋の未来」に向かってやっと動き始めた

f:id:kanno_kanno:20180713081452p:plain:w600

2年前に「出版不況を俺が終わらせてやる」と決意した時は、まだ具体的に何をやるかは決まっていませんでした。
そもそも当時は業界知識も業界関係者との繋がりもほとんどありません。あるのは覚悟と勢いでした。

最終目標が「出版不況」だったので、本屋に絞って考えていたわけではなかったと思います。
本屋に直接関係しなくても読書人口を増やしたり、出版社含め現場の人達の作業をシステムで改善することも考えていました。

そんな状態でも、ぼんやりと「本屋文化を作りたい」と思っていました。
今のアニメや漫画のように、本屋自体が日本のエンタメ要素になる世界です。

粗利の状況を知らない当時でさえ、本屋は本を売るだけではもう無理だと思っていました。
具体的に何をどうすればいいかも分からないまま、「これからの本屋は体験を売らないとダメだ」と思っていました。

当時、友人の紹介で経営者の方とお話する機会がありました。
そこで僕は「出版不況を終わらせたい」とか「本屋文化を作りたい」と話しました。
経営者さんの反応は次のようなものでした。

「君の言っていることは抽象的過ぎる。具体的にどうするの?」
「旅行する時には目的地を決めるのが普通。その目的地が君の話からは見えない」
「出版業界だと例えば見城さんとかそうだけど、何かを変える人には狂気とも言える熱量がある」
(直接言われはしなかったけど、その熱量が僕からは感じないということだったのでしょう)

具体的なアイデアも、イメージを共有できるようなビジョンや会話術もなかったので当然の反応です。
(会話術は今もないけど)

ただ当時から僕の頭の中にはずっと1つのイメージがあります。
僕が住んでいる街に新しく本屋が出来ます。そこはミステリ小説の専門店です。それ以外の本は売っていません。コーヒーなど他商材も売っていません。イベントもやりません。
大きなお店ではなくて小さな個人書店です。店員さんも1人しか見当たりません。
そんな本屋に僕は行き、次に読むミステリ小説を選ぶのを楽しみます。

この世界を実現したい。「xxに特化した本屋」が当たり前になる世界を作りたい。
青春小説を読むならあの本屋、ビジネス書を探すならあの本屋、技術書を見つけるならあの本屋。
ある作家に特化した本だけを集めた本屋もいい。著作や、著者が影響された本だけを扱うような。
それが特別なことではなく、それぞれの街に当たり前のように存在して欲しい。その方が読者として面白いから。

専門書店"が"増えて欲しいのではなく専門書店"も"増えて欲しい。
普通の個人書店や、大型書店も楽しいので引き続きあって欲しい。
誰かに上手に語ることは出来ないけど、頭の中にそのビジョンだけは常にありました。

それからすぐにリトルスタッフを作ることにはならず、色々と出版関係の交流や経験を増やしました。
途中で辞めてしまいましたが、中小の出版社と書店を繋ぐための受発注システムを一人で作り始めたりもしました。

そうした日々が過ぎ去り、結局まずは本屋に注力しようと決めて、2017年9月にリトルスタッフを始動します。
そして何回かのリニューアルを経て、先日やっと覚悟を決められる形に仕上がりました。

▼良いと思った本屋に、本を買う以外で応援できるシステムを作った
http://little-staff.hatenablog.com/entry/2018/07/11/081016

専門書店を経営するには本の売上だけでは食べていけません。
多様な本を扱っている通常の本屋さんですら厳しい現状なのだから、顧客層が更に狭まる専門書店ならもっと厳しいのは当然です。
(それでも食べていける超有能な経営スキルを持った専門書店もあるのでしょうが)
専門書店だからといって本に付加価値があるわけでもなく、本の値段は(新刊なら)どこで買っても同じです。
飲食店やアパレルのように「専門性が高いから高級」という売り方はできません。

専門書店を普及させるには、まずその専門性にお金が流れるようにしないといけません。
リニューアルしたリトルスタッフではそれが出来るようになりました。
専門性を本屋の個性として捉え、その個性にお金が流れます。お金を払う読者にももちろんメリットがあります。
詳細は上の記事やサイトをご覧ください。

最近たまに2年前の頃を思い出します。
具体的なアイデアも語れるビジョンもないけど、頭に描いた「専門書店が当たり前に溢れる世界」

だいぶ遠回りをしましたが、やっと自分の望む未来を作り始めました。

本屋の定期購読 | リトルスタッフ

開発者について

リトルスタッフは1人で開発、運営をしています。 こちらの自己紹介をご覧ください。
リトルスタッフ開発者の自己紹介 - 僕らが本屋の未来を変えるまで

このブログの更新情報は以下でも確認出来ます