僕らが本屋の未来を変えるまで

リトルスタッフ開発や日々の取り組みについての記録

本屋ごとに課金する理由

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「本屋のサブスクリプション」へリニューアルする - 僕らが本屋の未来を変えるまで
リニューアルまで設計や進捗を残していきます。


リニューアルしたリトルスタッフでは本屋ごとに課金する形となっている。
本屋A、本屋B、本屋Cとあった時に、本屋Aと本屋Cの選書が見たい(or応援したい)場合はそれぞれに課金する。
SpotifyとかKindle Unlimitedみたいに「サービスに課金したら全てを利用できる」わけではない。

これがどうやら伝わらない。
リトルスタッフを触ってもらって、僕から「本屋ごとに課金するんですよ」と伝えると「えっ、そうなの?」という反応が100%返ってくる。
(サイト上にはちゃんと説明文を入れているので騙しているわけではない)

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恐らく一般的な定額制サービスが「1度課金したら使い放題」だから、その先入観が強いのだろう。
(ファンクラブ系のサービスだと捉えれば、個別に課金することは目新しいものではない)

ではなぜ本屋ごとに課金する必要があるのか?
そこを考え直して、本屋ごとに課金することがシステム都合、または本屋都合なのであれば仕様を見直した方が良い。

少しだけ頭の中を整理しておく。

本屋視点

本屋ごとに課金してもらう方が自店のファンだということが明確になるし、その数値化はモチベーションにも繋がる。
それに本屋ごとに課金してもらう方が儲けが出やすい。
「サービス全体に課金してもらって、その売上から本屋さんに分配しますよ」という方式にしてしまうと、参加書店が増える度に利益は薄まるし、経営的にも売上計画を立てにくい。
これが本屋ごとに課金される形なら毎月の売上は把握できるし、参加書店数の多さは影響しない。

読者視点

まず第一に、このサービスは「普段お店に行って買っている本屋」または「あまりお店には行けていないけど応援したい本屋」がある読者を前提にしている。
普段の利用や応援が軸にあって、それを補強する形でリトルスタッフが存在する。

そのためリトルスタッフを使った「新しい本屋への出会い」は重要視していない。最悪、それは無くても良いと思っている(少なくとも今は)。
大事なのは「自分の好きな本屋を100%応援できること」だ。
(その上でサービスとしても楽しめるものであること)

本屋ごとではなくサービス全体に課金する形にしてしまうと、この感覚が薄まるし、効果(売上や心理)も弱くなる。
例えば(本屋ではなく)サービスに対して300円の課金をしたものの、自分が好きな本屋には10円しか配分されなかったらリトルスタッフを使う意義が半減する。

それでも少しだけ使い勝手をフォローするため、「選書のみプランは1ヶ月無料」にしてある。
気になる本屋がリトルスタッフにあれば1ヶ月とりあえず入ってみればいい。
それで好きになれたら継続すればいいし、違うなと思ったら解約すればいい。

本屋ごとに課金する形で読者が唯一不利益を感じることがあるとすれば金額だ。
「300円で全ての本屋の選書が見える」ことに比べれば、本屋ごとに課金する方が出費が大きいのは事実。
これをどう感じるかはリリースして様子を見ないと分からない。僕は1店舗300円は安いと思っている。

コンセプト視点

僕は今回のリニューアルで「本屋の選書に価値を作り出す」ことを重要視している。
今までは無料で当たり前のように存在した本屋の選書、本屋のスキルというものに対価を生み出す。
選書という本屋としてコアな部分が面白い本屋ほどリトルスタッフ上で売上が立つような世界を目指している。

そのためにはサービス全体に対する課金というふわっとしたものではなく、本屋ごとに課金する直接的な形の方が自然だ。

結論

  • 本屋ごとに課金する形は変えない
  • 誤解を招いてしまう点については試行錯誤する
    • 「そういうサービス」という認知度が高まれば問題ない気もしている

本屋の定期購読 | リトルスタッフ

日記

リリース期限まで一週間。
最低限のTODOは終えていて、今は最終確認やちょっとした修正をしている。

今までも常に良いものを作ってきたけど、今回はずば抜けて「いいものが出来た」と言える仕上がりになった。
料理人とかアーティストが自分の作品に胸を張る気持ちが少しだけ分かった。
開発している段階ではまだ半信半疑な部分もあったけど、公開中のデモで実際に本屋さんの投稿を見て面白さを確信した。

ただ良いモノと売れるモノは全くの別物なので、リトルスタッフは売り方を考えないといけない。
初期の頃から売り方がどうにも下手だ。
僕は開発者モードだとビジネス的なことを考える力が全く出なくなるので、そろそろ開発者モードを切り上げないと。

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