僕らが本屋の未来を変えるまで

リトルスタッフ開発や日々の取り組みについての記録

楽しいサービスとは何か。エンタメの方程式を見つける

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この記事は 本屋専用ファンクラブ | リトルスタッフ の開発記録です。

リトルスタッフを「本屋の価値を可視化する」ものに変更するべく考え中です。
昨日の記事で「リトルスタッフ自体がエンタメになるようなWebサービスにする」という話をしました。
便利なAmazonと楽しい本屋と滅びゆく本屋と - 僕らが本屋の未来を変えるまで

じゃあエンタメとは何か、楽しいサービスとはどういうものか、についてのメモです。

エンタメの方程式

現状の結論から書くと、僕なりのエンタメの方程式は「何をするか分かる x 何が起きるか分からない」という組み合わせです。

多くの人は、どうすればいいか分かっていることしか動きません。
かといって、行動した結果どうなるか分かりきったことに対してワクワクはしません。
結果が分かりきっている行動は単なる作業だからです。

「何をするか」は具体的な行動に限らず、対象に関する事前知識も含みます。
例えば映画の場合、出演者は誰で、あらすじはどういうもので、評判を見聞きしているなど。
そういったことが「分かって」いながら、でも起承転結の詳細は「分からない」

一切の情報が分からないまま映画を観ることはありません。

  • 映画とはどういうものなのか
  • 映画の見方(映画館にしろDVDにしろテレビにしろ)
  • 物語とは(起承転結があるとか)
  • タイトル
    • タイトルから連想するイメージ

最低でもこれらの「何をするか」は分かっています。

他にも色々な行動の例をあげます。

サービス 何をするか(分かっている) 何が起きるか(分からない)
映画 映画の見方
関係者やストーリーの事前知識
具体的に話がどう進むか分からない
小説/漫画 映画と似たようなもの 同上
ライブ 音楽を見聞きする
誰のライブか
(事前確認していなければ)セットリスト
どういうパフォーマンスをするのか
握手会 タレントと握手して会話する
誰が参加するか
(アイドルなら)どういう服装か
相手がどんな反応をするか
ゲーム どういうジャンルか
同ジャンルの操作経験がある
具体的なシステムやストーリー
デート 意中の人と過ごす どきどき
SNS SNSがどういうものか
使い方の事前知識
自分の投稿に対する反応
タイムラインに流れてくる情報
グルメ どういう料理が出てくるか
前評判
実際の味やホスピタリティ

余談ですがインフルエンサーと呼ばれるような、新しい物事に率先して動く人達は恐らく、「何をするか」があまり分かっていなくても行動出来るのだと思います。

「何をするか」はシンプルなほど良い

「何をするか」が分からないと人は行動しません。
Twitterなら短文を投稿する、Instagramなら写真を撮って投稿する。
ここは一言で言えるような簡単な物が望ましい。

それでいて、使うほどに「分かることが増える」と理想です。
機能が増えるわけではありません。
機能は変わらないのに、使う人にとっては分かることが増えてアハ体験を与えます。

例えばTwitterで投稿する人の場合。
「140文字以内で投稿する」という操作は変わらなくても、どういう内容を投稿すると反応がいいか、どういう言い回しがいいか、どの時間帯に投稿すると刺さりやすいのか。などが分かってきます。

Instagramなら流行りの言葉を使えば「インスタ映え」です。
写真を撮るという行為は変わらないのに、どうしたら映えるかが分かってくる。

お金を払って機能を増やすわけでもなく、複雑な機能を1つずつ覚えていくわけでもなく。
自分のサービス熟練度として成長する実感を味わえます。

「何が起きるか」常に予測不可能じゃないと飽きられる

「何が起きるか」予測不可能であることは絶対条件です。
これはもうAKBというか秋元康さんが巧みな手腕で証明しています。

一般的なところで一番分かりやすいのは、恐らくデートでしょう。
何が起きるか分からないからこそドキドキして楽しめます。
段々と「予想の範囲内」に収まってしまうといわゆるマンネリが始まります。

ただし大前提として行動した結果、得られるものが自分にとって満足度が高くなくてはいけません。
どんなに予測不可能であっても、自分が求めていないことにはワクワクしません。

例えば僕にとってのグルメがそうです。
僕は食事に強いこだわりも欲求もないので、いくら「予想外に美味しいお店」に出会ったとしても食べ歩きが趣味になることはありません。

その他の強化オプション

上記を軸にして、あとは希少性(限定とか)や見た目の良さなど、効果を最大化する方法を加えます。
例えばソシャゲとかはグラフィックの良さが満足度を高めていますね。

余談: 本屋のエンタメ性

少し話をずらすと、この理論は個人書店のエンタメ性にも当てはまります。

  • 分かっている: 本屋では本が売っている
  • 分からない: どんな本に出会えるか

なので品揃えが変わらなかったり、何となく置いてある本の察しが付いてしまうと「マンネリ化」します。

考える練習

本屋に関係なく、練習台で考えたのを1つ残しておきます。

スタート地点: 「ボタンを押したら、ランダムにお金が手に入る」  
↓  
「好きな時、好きなだけ押せる」ようでは単なる作業  
↓  
「1日1回」や「押すのに参加費がかかる」ようにする  
(制限を付けることで、成功時の満足度を高める)
↓  
特定の条件下で、お金が手に入る確率を上げる  
(分析できた人は「分かることが増える」し、それにより優位性も得られる)  
(それでいて操作は平等に変わらないまま)  
↓  
確率アップのキャンペーンなどを設定する  
(希少性)

この時点で既にイメージ出来ますが、これはパチスロです。
パチスロにするつもりはなくて何となく「ボタンを押す + お金」で始めたらこうなっちゃいました。

ちなみにもらえる物が現金じゃなくてコンテンツに変わると、いわゆるガチャです。

日記

口で言うのは簡単だよね。
理論だけで思い通りにいったら苦労はしない。
評論家が実際にその通りに動けるわけではないように、理論と実践には大きな差がある。

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本屋向けのこういうのも開発しました。ご興味ある方をお待ちしています。

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